つい、現時点での金利を見てローンを選びがちですが、ご自身の、またご家族のライフプランに合った、金利のタイプを選択することが大切です。
住宅ローンは、ほとんどの方が人生の大半をともにするものです。難しく、ややこしい印象がありますが、少し勉強するだけで、将来の人生設計に大きな違いがでます。後悔のないように、納得のいく住宅ローン選びを成功させましょう。
金利には、主に3つのタイプがあることをご存知ですか? 金利がずっと変わず返済額が一定なタイプ、もあれば、返済途中に金利が変わって返済額が増減するタイプもあります。それぞれのタイプにメリットとデメリットがあるので、それを見ていきましょう。
■固定金利型…将来のプランを立てられる。
固定金利型とは、払い始めから払い終わりまでの全返済期間における金利が、ローン契約時に決定されるタイプのローンのことです。さらに元利均等返済であれば、毎月返済額は毎月の家賃のように一定になるので、支払い形式がわかりやすいタイプです。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の以外にも、最近では民間からも固定金利型の住宅ローンが提供されています。その他、民間と住宅金融公庫が提携して実現した最長35年長期固定金利型の「フラット35」があります。
金利の動向はある程度しか予測がつきません。固定金利より金利が低く設定されることの多い変動金利を選んだとしても、返済期間中に高金利化する可能性を考えておかなくてはなりません。低金利の時代といわれている現在においては、特に融資実行時に返済終了までの金利が確定する「長期固定金利型」のフラット35を選ぶと、市場金利の動きに左右されずに将来の見通しが立てやすく、必要以上の心配はせずに済むでしょう。
また、同じ固定金利型でも、2段階固定金利型というものがあります。当初10年間の金利は低く設定され、11年目以降は金利、返済額がアップする システムです。例えば、お子さんに対する教育費の負担が大きい間は住宅ローンの負担を少なくし、お子さんの自立が見えてくる頃に金利、返済額を増やしていくというものです。
■変動金利型…先を見越して。
変動金利型とは、金利の改定が4月と10月の年2回、短期プライムレートなどの短期金利を基準として行われるタイプです。返済期間中の返済額の改定は一般的に5年に1度行われます。金利の変動があったとしても、その5年間は返済額の利息と元金の割合だけが変動し、返済額は変わりません。また、金利が上がっても、上限を返済額の1.25倍としているケースが多いようです。
民間ローンで多く扱われており、上限金利付きや、預金が増えるとローン金利が下がる預金連動型などがあります。現在は、固定金利と比較すると金利が低めといえます。
■固定金利期間選択型…中短期で考えやすい。
固定金利期間選択型とは、返済期間内の一定期間を固定金利で借入れ、期間終了後に変動金利か固定金利かを選ぶローンのことです。選択した期間により適用固定金利の期間が決定されます。
※適用固定金利の期間が終了した後は、住宅ローン商品によって内容はさまざまですので (固定金利の継続手続きをしないと自動的に変動金利型に移行するものなど)、注意が必要です。
金利の決定時期は「申込時」と「実行時」の2種類があります。住宅ローンを選ぶ際に、最も重要視されているのは「金利」ですが、金利のタイプだけでなく、金利の設定時期の確認は、資金計画を立てるうえでの重要なポイントになります。
財形住宅融資は申込時金利が適用されますが、ほとんどの民間ローンとフラット35は実行時金利が適用されます。「実行時」の場合、申込時点より金利が下がる可能性もありますが、反対に申込時より金利が上昇してしまう可能性もありますので、金利の動向に注意する必要があります。
変動金利型では、6カ月ごとに金利の改定 (見直し) が行われますが、返済期間中に金利が上昇すると元金がほとんど減らない可能性があります。また金利の上昇が大幅になると「毎月の利息支払額」が「毎月の返済額」を超えてしまう可能性もあり、その超えてしまった利息支払いは繰り越しされます。これを「未払利息」といいます。
金利上昇が続いた場合、5年ごとに行われる毎月の返済額の改定では、改定前の返済額の1.25倍を上限としているケースが多いようですので、元金は全く減らずに未払利息が増えていく可能性があります。(返済額の1.25倍を超えた未払利息も支払い対象なので要注意です。)
【参考】未払利息が発生するケース
| 借入額 |
2,000万円 |
| 返済期間 |
35年 |
| 返済方法 |
元利均等、毎月払い |
| 融資金利 |
当初3年間固定金利2.25% (4年目からは変動金利) |
| 返済回数 |
金利 |
返済額
(内、元金分) |
元金残高 |
未払い利息
累計 |
| 1回目 |
2.25% |
84,290円 |
(31,347円) |
19,968,653円 |
0円 |
| 2回目 |
2.25% |
84,290円 |
(31,406円) |
19,937,247円 |
0円 |
| 3回目 |
2.25% |
84,290円 |
(31,465円) |
19,905,782円 |
0円 |
| 途中省略 |
| 82回目 |
5.50% |
84,290円 |
(913円) |
18,190,511円 |
0円 |
| 83回目 |
5.50% |
84,290円 |
(917円) |
18,189,594円 |
0円 |
| 84回目 |
5.50% |
84,290円 |
(922円) |
18,188,672円 |
0円 |
| 85回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
2,864円 |
| 86回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
5,728円 |
| 87回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
11,456円 |
| 88回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
14,320円 |
| 89回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
17,184円 |
| 90回目 |
5.75% |
84,290円 |
(0円) |
18,188,672円 |
23,837円 |
| 以下省略 |
極端な例で、あくまでも可能性としてですが、金利が上がり続けると、上記の場合で85回以降 (8年目以降) は元金が減らないことが分かります。
住宅ローンの返済には大体は長い年月がかかるものなので、返済計画は将来の見通しを立てやすい長期固定型を利用することが基本になります。ですが、住宅ローンの返済期間が短ければ、金利の上昇リスクを抑えられるので、10〜15年程度の短期間で返済できる見込みがあれば、長期固定で組むよりは変動、または短期固定が良い選択になるかもしれません。
また、各住宅ローン取り扱い機関は、その時々の金融情勢を鑑みて商品を提供するために、このまま低金利傾向が続けば、それにマッチした新しいタイプのお得な低金利ローン商品が登場してくるかもしれませんので、そうなると長期固定型を選ぶと不利になってきます。
では変動金利型がよいか、といえば、ゼロ金利政策の解除後に予想された金利の上昇は今のところそれほどないように、将来の金利動向は誰にもわかりません。このまま景気がさほどは良くならずに急激なインフレも発生せずに金利も上がらない、かもしれません。ですが、その反対に未払利息が発生してしまうほどの金利上昇が起こってしまう可能性も、全く0とは言い切れません。日本では超低金利傾向が続いていますが、海外を目をうつすとアメリカの政策金利は現在約5%、欧州も2.5%となっています。日本でも景気が良くなればアメリカや欧州のように金利が高くなる可能性は充分にあるのです。
そこで、先々に起こる状況に柔軟に対応するために、当初は短期固定金利型や変動金利型で借りて、金利の動向を見ながら他のタイプへ借り換えを行う方法や、リスクを分散させるために、1社だけでなく2社の組み合わせ、短期固定金利型 (または変動金利型) と長期固定金利型の組み合わせ、といった併用しての住宅ローンの組み方が考えられます。
繰り上げ返済を積極的に行う見込みが場合には、変動金利型もしくは短期固定型が良い選択になります。その理由は、金利上昇によるリスクが伴うものの、毎月の返済額はそれほど大きくならず、残高が減るスピードは長期固定型より大きくなるためです。
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