住宅金融公庫から住宅支援金融機構へ
平成18年度末までに廃止された住宅金融公庫は平成19年4月1日をもって、独立行政法人に移行されました。独立行政法人とは、平成13年に設立された行政法人のことで、国民の生活や社会経済の安定に欠かせないとされる業務を、政府の監督のもとで独占して行う機関です。独立行政法人は、国の資金援助に頼らず、国民に必要な業務を独立して行うことになります。
住宅支援金融機構は旧住宅金融公庫の一部の業務と権利を引き継がれていますが、変化が実際にはあるのかないのかは解りにくいところです。 そこで、住宅金融公庫が廃止された経緯を見ながら、今後の住宅ローンに与える影響について考えてみましょう。
住宅金融公庫の設立から廃止に至るまで
住宅金融公庫は、戦後まもない昭和25年 (1950年) に、国民の住宅取得をすすめる目的で、住宅専門の特殊法人として、住宅金融公庫が政府によって設立されました。特殊法人とは民間では困難な業務を国が支援する、国と民間会社の中間行政機関ですが、設立によって資金力が乏しい個人も融資を受けられるようになりました。
戦後は深刻な住宅不足が問題となっていましたが、政府の借入資金や国の一般会計からの補給金をもとに、民間金融機関に比べて金利の低い住宅ローンが利用できるようになりました。 低い金利が長期固定で利用できる住宅金融公庫は人気も高く、設立当初から平成8年度末までに至るまで、住宅金融公庫の融資を受けて建てられた住宅の割合は約30%にものぼります。
そのように、戦後の黎明期から平成に至るまで、国民の住宅取得を支えてきた住宅金融公庫ですが、平成に入ってバブル経済が崩壊した後の超低金利時代では、民間ローンでも低い金利で借りやすい住宅ローン商品が、次々と提供され始めました。そのため、次第に公庫の利用者は減り続け、多額の税金をもって運営されている住宅金融公庫の体制そのものが疑問視されだし、ついに改革されることになりました。そして平成13年12月、特殊法人等改革基本法に基づいて、正式に住宅金融公庫の廃止が決定されました。
住宅金融公庫にかわる住宅ローン
ポスト住宅金融公庫として脚光を浴びているのは、新たに登場した長期固定金利型の「フラット35」です。フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携した新型ローンで、公的ローンと民間ローンの特徴がミックスされています。他の公的融資では、フラット35の金利より低くならないように設定されているため、取り扱う金融機関ごとに金利は異なるものの、基本的に金利は低めに設定されています。現在はゼロ金利政策も解除され、その影響もあって住宅ローンの金利は上昇傾向にあり、長期固定金利型住宅ローンの利用者数は増加しつづけています。
住宅金融公庫からの変更点
住宅金融支援機構は平成19年4月1日に住宅金融公庫の業務を引き継ぎましたが。それよりも前に融資を受けていた場合には、金利や返済回数、返済期間は変わることなく、ローンをそのまま返済すれば良いようになっています。また、火災保険や団体信用生命保険といった権利や義務に関する契約内容にも変更はありません。
ただし、個人向け融資のほとんどは移行にともなって提供が打ち切られていますが、財形住宅融資、リフォーム融資、被災された方への融資、地すべり等関連住宅融資、まちづくり融資などの融資は、住宅金融支援機構によって業務が引き継れているので、利用は従来どおり可能です。
今回の廃止に伴って、民間ローンの借り換えを考える際は注意が必要です。借り換えを一度行うと、再び公的ローンには借り換えすることはできません。また、フラット35への借り換えもできなくなります。
